腰椎分離症と早期発見・早期診断の重要性について

腰椎分離症と早期発見・早期診断の重要性について

腰椎分離症は、腰椎の椎体後部にある「椎弓」という箇所に起こる疲労骨折です。腰椎分離症は全年齢で起こり得る腰痛症ですが、特には、成長期にスポーツのしすぎが原因となって起こることが多いことから、思春期脊椎分離症という名称で、一般の腰椎分離症と区分けされて表現されることもあるほど、言わば成長期・思春期に多い疲労骨折・腰痛症です。

腰椎分離症は、初期の段階で症状を発見すると疲労骨折を起こした椎弓部分の癒合の可能性が期待できることから、スポーツを一旦禁止して骨癒合を目指した専用コルセットを装着や保存療法で対処していくわけですが、若い方の腰椎分離症の多くがかならずしも骨癒合が期待できるというわけではありませんので、腰椎分離症の進行期や終末期にようやく治療に臨んだという場合は、骨癒合を目指すのではなく、痛みを取り除き、且つスポーツ復帰に向けた治療を優先せざるを得ないケースもあります。

このように、発育期の腰椎分離症では、発見~治療開始が初期の段階か、終末期の段階かで大きく変わってきますので、お子様が比較的ハードなスポーツをしているという家庭では、お子様が腰の痛みを見過ごしていないか、親の立場からも注意することが大事だと考えられます。

成長軟骨層の骨化は中学生で完了する子もいる

では成長期や思春期と呼ばれる時期の、分離症の治療方針に、発見~治療開始時期が影響を及ぼすのはなぜなのでしょうか。

ひとつは、成長期の骨には、成長期を終えた骨にはない特徴があることに起因しています。

簡単に言うと、成長期の骨には成長軟骨層があります。ここが、成長を終了している大人の骨との大きな違いです。

成長軟骨層は、上肢や下肢においては、骨の端部、関節の近くに存在し、背骨においては、それぞれの椎体の上下面にあります。これが小学校の中高学年ぐらいから骨化がスタートしはじめ、そして骨化した成長軟骨層は椎体と癒合することで消失して骨の発育が完了するのですが、それが中学生から高校生の時期にあたるのです。つまり早い子供だと、中学生で骨の発育が完了するといった早いペースで進みますので、腰椎分離症を発症しているのに、たまたま痛みがひどくないといった理由で、3ヶ月、半年、1年と放置してしまうと、あっという間に成長軟骨層の骨化が進み、疲労骨折した椎弓部分の癒合がもはや期待できない状態になっていることがあるということです。

腰椎分離症の病期と骨癒合率

もうひとつは、腰椎分離症の病期による骨癒合率・偽関節率の違いが、臨床データから認められています。なお腰椎分離症の病期は、初期、進行期、終末期に分かれます

ある調査においては、初期では8割以上の骨癒合が見られ、進行期でも7割弱の骨癒合が見られるのですが、終末期においては全く骨癒合が見られないという結果があります。初期と進行期に限定すると、骨癒合率は7割以上となり、終末期とは格段の違いとなります。このことから、腰椎分離症においても、いかに早めの受診・診断、そして骨癒合に向けた治療が大事かが分かります。

なお仮に分離症が骨癒合しないケースでも、正しい治療と筋力強化を中心としたリハビリを行うことで、日常生活は普通に送れるようになりますし、スポーツにも復帰できます。ただし椎弓に分離箇所があることから、将来的に「すべり症」を誘発する可能性があることは否定できません。あらためて、腰椎分離症の早期発見、早期診断が大事であることを、確認していただければと思います。