水泳と腰椎分離症

水泳と腰椎分離症

腰椎分離症は、腰椎への負荷が繰り返し加わることで、骨が疲労骨折を起こして分離してしまう疾患です。

腰椎は大きな円筒形の骨とその左右の後方から張り出して脊髄を抱え込む弓状の骨とから成り立っています。
この弓状の骨は構造上脆弱で、強い力が繰り返しかかると分離を生じます。

背骨は体の動きによりいつも少しずつ動いているので、全く動かさないという事は不可能で、一旦分離してしまうと元のように癒合させることはかなり困難なのです。

腰痛の治療としてアクアスポーツが取り上げられます。
水中ウォーキングなどは、水中では腰にかかる負荷が殆ど無いために、腰の痛みを感じることなく筋力のアップが図れるので、医師なども大いに推奨しているものです。

水泳はどうでしょうか。
水泳では、腰に体重の負荷がかかることはありませんが、泳法によっては特有の姿勢と、また練習方法による特有の運動の繰り返しで腰椎に負担が加わり、腰痛を経験する選手は少なくありません。

クロールは腰に負担がかかる事はあまりないので、泳法としては腰痛者にも禁止されているものではありません。

しかし、競泳の選手などは、ハイエルボー(水中で肘を高くして腕をかくこと)を心がけているために、常に背筋を緊張させて腰椎が反りかえる形になって泳いでいます。

このような姿勢を保持していると、背骨の全長に添って付いている太い筋肉群が常に緊張している状態となり、疲労し腰痛の原因となります。

バタフライは、独特の呼吸法とドルフィンキックを行うため、腰椎を常に過伸展する事から、腰痛持ちの方には禁止されている泳法です。

低年齢で筋肉や骨の発育が充分でなく骨が薄くて細い初心者では負担が強くかかるため腰痛が出現します。

分離症の発生頻度は、普通の人では4~7%ですが、バタフライ選手では22%であったという報告があり、腰椎に対する負荷が大きいことがわかります。

小児に大人用のビート板を使ってバタ足の練習をさせると、浮力が強く上半身が浮き上がるため、腰椎に負担がかかるようになり腰痛を発症しやすくなります。

背泳でも初心者の場合、腰椎の過伸展を起こし背骨の筋肉群が緊張するため腰痛を起こすことがあります。

中高年の初心者が、クロールの呼吸を一流選手のようなローリングで行うと腰椎に強いネジレと過伸展を生じ腰痛を起こすことがあります。
高齢者や初心者は、上半身全体をぐるりとまわして呼吸する方法で泳ぐことをお勧めします。

つまり、腰痛者や腰痛予防として行う水泳は、クロールをゆっくりと腰に負担のかからない方法で泳ぐことが大切だという事になります。